インネパカレー男、ネパールへ

ネパール探訪、ネパール論考

最終Day: 異国感、求めていたもの、エンドロール

目覚めて一番最初に感じたのは、吐き気だった。うぇー、気持ち悪い。前の座席のポケットに、飲みかけの水が入れられていた。私はそれに飛びつき、蓋をひねってゴクゴクと飲んだ。 身体は確実に水分を欲しているようだった。疲労と軽い脱水症状によるものだろ…

Day208: 計量、小バサミ、さよなら

「22.7.....」 体重計からボストンバッグを下ろし、画面が消えた後、もう一度ボストンバッグを乗せてみた。"22.7kg"ともう一度表示された。 ネパリファミリーはこのボストンバッグに、日本の家族に届けたい物々を入れていた。私もお土産を隙間に詰め込んでい…

Day207: 最後の晩餐、潔癖症、留学と流出

2日前の夕方ことである。私のメッセンジャーに「Now I am in Kathmandu. Can we meet before going to Japan?(私は今カトマンズにいます。帰国前に会えないでしょうか?)」、というメッセージが来た。 私の日本人知人のネパリ友人からだった。(実際は"知…

Day204-206: 下痢vol.3、NEPAL、見納め

オレンジの朝焼けが山並みを黒い影に染めていた。目覚ましをセットしなくても、私は4:30に目が覚めていた。荷物もショルダーバッグとリュック一つだけだった。出発前に旅の安寧を祈り、職員の方から額にティカ(赤い印)をつけていただいた。 早朝5:30に数人…

Day203: 飛ぶ鳥、エモい涙、無条件の愛

ネパールでの分厚い一日は、一万字を超えてしまう。 ・・・・・・・・・・ 「インネパダイ!(インネパ兄さん!)この村を離れて私たちと別れ別れになったら、心は痛む?痛まない?」 「痛むよ、すっごく」 「最後の日は泣く?泣かない?」 「泣くだろうね」…

小話: ネワール族の儀式

ネパールの一民族、ネワール族の子どもは、一定の年齢に達すると果物や太陽と結婚する(?)らしい。非常に興味深い話なのだが、"?"レベルの話である。どこまで真実なのか、詳しいことを私は理解できなかった。ガイドに質問攻めをする欧米人観光客のように(…

Day198-202: はじめて、ドラえもん、チーズボールと花

ボランティア団体のホステルで朝ご飯を食べ終わった後、ソファーでぼーっとしていた時のことである。私は気づかぬうちに、とあるメロディーを口ずさんでいた。 私が小学生の頃だったと思う。日曜夜9時から放送の『行列のできる法律相談所』にて、カンボジア…

小話: アイルセルゥを愛してる

木いちごの一種を、ネパール語で"アインセルゥ"と呼ぶ。 以前別の村で男の子が"アインセルゥ"と私に向かって発音した時、私は"愛してる"と聞き間違えてドキッとした。 ボランティアのホステルでダイ(ネパリ兄さん)に誘われ、朝7時30分頃、アインセルゥを摘…

Day193-197: 強く、優しく、美しい

この村の子たちは、苦境の中でも強い。 私は学校・通学路・家庭という多方面から子どもたちと触れ合う機会を得られていた。彼らの日常の姿それだけで、私の心を揺さぶるものがあった。 ペットボトルをサッカーボールの代わりとして蹴り合う男の子たち。放課…

小話: 渡航前のワクチン接種

海外に長期滞在となると、ワクチン接種が必要になってくる場合がある。南アジアの発展途上国ネパールも、ご想像の通り例外ではない。 私は通いやすい医院・クリニックを調べ、そのうちの一つに電話をかけてみた。電話先の女性スタッフは、名前、接種希望ワク…

Day189-192: 教育と平等、"雄ヤギは?"、フットボトル

前日の校長先生との出会いがあり、私は学校に入りやすくなった(つまり、私の緊張感は多少緩和された)。その日は新学期の始まりで、教師たちが子どもたちに教科書を配っていた。ネパール語、英語、算数、理科、社会、健康.....積み重なった教科書のずっしり…

Day184-188: "雪!"、少年案内団、偶然のジープ

私がしていたボランティアは、子どもに関わるものだった。小学校の生徒たちが外部から教育的な支援を受けられるように、子どもたち、及びその家族に聴き取りをするのが主な業務だった。 子どものほうは学校で聴き取りを行えばいいのだが、この時期はネパール…

Day179-183: "シェルパみたい"、"これこそネパール"、"バナナをあげる"

私はカトマンズから200kmほど離れた農村に移動するべく、朝6時半頃ジープに乗った。朝食と昼食を挟みながらジープは車輪を回し続けた。標高が上がっていくと、暑さは和らいでいった。その一方、村に近づくにつれて悪道の度合いは増していき、車内は上下左右…

小話: 3つの言語のmanage

「3つの言語をどうやってmanageしているの?」 特にきっかけもなく、同年代くらいのネパリ女の子からそう尋ねられたことがあった。 私の母語は日本語である。ネパール語と英語も、日常的なコミュニケーションはほとんど問題ない(あくまで"問題ない"だけであ…

Day176-178: “頭が禿げますよ"、"ネパリじゃないですね?"、"モダナイズされたのね"

急展開はあったものの、私は指定された時刻にボランティア団体のオフィスに到着した。前回参加したのと同じ団体だったので、その後も問題なくスムーズに進んだ。費用は総額15万円ほどかかったが、その大金がその時の私には大した額に感じられなかった。誘拐…

小話: パタンのダルバール広場

カトマンズに戻ってきたある日、カトマンズ盆地の世界遺産、パタンのダルバール広場を観光する機会を得た。"機会を得た"のであり、自分から自発的に観光したわけではない。"同行した"と言ったほうがふさわしいかもしれない。 パタンは私にとって思い出深い場…

Day170-176: 激動、最安値、迅速対応

ネパールに渡航する半年前、私は大学時代の先輩に「ネパールにしばらく住みたいと考えているのですが、」と、相談にのってもらったことがあった。 「心の中で蝋燭の火が燃えているうちに、やりたいことをやらなければいけない気がするんです。その蝋燭は風の…

Day164-169: 沈没、自問自答、新年のユリーカ

ブログの更新を怠っていた舞台裏が続きます..... ・・・・・・・・・・ 体調不良時に最も困難なのは、メンタルが沈んでしまうことである。日本にいた頃はそこまでそう感じなかったが、少なくとも海外ではそのようである。異国の細菌やウイルスは、発熱によっ…

Day160-163: 下痢vol.2、村は狭い、村は広い

身体が異常に疲れているなぁ、とは感じていた。夜になると、なんだかゾクゾクするなぁ、とは思っていた。 深夜に目を覚ますと、身体が熱かった。どうやら微熱が出ているようだった。そして、いつもより早く目覚めた私は、お腹が痛くなった。 ネパールに来て…

小話: 隣村の誕生日会

村に滞在中、隣村の誕生日会に招待されたことがあった。タマン・バイの家族と一緒に、しれっと私も参加した。 会場はもちろん民家だった。村人が30人くらい集まっており、そのほとんどはタマン語で歓談していた。家の中には女の子が、タマン族の民族衣装に身…

Day159: 硬米、山火事、豚立入禁止

「ライスもタルカリも美味い」私はタマン・バイの妹さんに、タルカリのおかわりをお願いした(写真奥はゴーヤのアチャール)。 「私が作った」 「僕はこういう硬めのご飯が好きなんだ」 「そう?私は柔らかいご飯のほうが好き」 ご飯硬柔論争は、21世紀の世…

Day158: 牛糞じゃった、Feeding Ceremony、ローカルロキシー

20時までは何もかも順風満帆だった。 朝イチに卵を1分で配達し、圧力鍋の蓋を取るには90度回転させればいいと発見し、 竹切断作業の続きを手伝い、 途中休憩のカジャは、チウラにタルカリと水牛肉がついていて美味く、 濃いめのジャール(ネパールの家庭でト…

Day157: 蝿、境界、辛味軽減

朝のカナの調理前にベンチに座っていたら、隣に叔父さんの娘さんの教科書も腰かけていた。試験前に勉強していたのかもしれない。中途半端なページを開いているのは意図的なのか、それとも風の仕業か。 10時30分頃の朝ダルバート。ライスを岩石海岸のように豪…

Day156: 猿出現、木登り②、ほぼカナ

叔父さん・叔母さんと一緒に、ヤギを連れてジャングルへ、の巻。 出発から15分後、叔母さんが崖の下のほうに向かって、何やら叫び始めた。昭和プロレスラーがチョップを繰り出す時のような、重く低い声を腹から出していた。タマン語なのかもしれないし、「○※…

Day155: セルフカナ、竹と胡瓜、三日月

「インネパ!家の中に入って、自分でお皿にご飯とって食べればいいよ!」 出勤前の叔父さんが、50m向こうから叫んだ。私は腹にご飯を入れたくなっていたので、迷わずドアを開いた。 台所には圧力鍋が3つ、大鍋が1つ置かれていた。小さめの圧力鍋の蓋を外して…

Day154: カーソル保持、3匹の子ヤギ、オーガニック・カジャ

本日はヤギ使い。これまでとは別のルートで、森には向かわず畑のほうにヤギたちを連れていく。引率は私を含めて3人。 草葉に目がくれ、ヤギたちが上のほうに行ってしまった。「ハゥ!ハゥ!」(Day148参照)で呼び戻す。時に私たちも上に登り、ヤギたちを正…

Day153: 村道作り③、ジャール休憩、頭で引く

起床時に感じたのは、人生で経験したことのない重々しい筋肉痛だった。特に二の腕がズキっとしていた。背中へも太ももへも、痛みは全身に広がっているようだった。慣れない肉体労働は反動が大きい。 朝のカナを食べて、エネルギーを蓄える。今日は叔母さんが…

Day152: 村道作り②、チャング休憩、"マサラ"

「インネパ、今日ヤギ使いに行くか、仕事をするか、どっちがいい?」という選択肢を、タマン・バイから与えられた。"仕事をする"ほうを私は選んだ。 「仕事ってどんな?」 「道を作る」 早めの9時30分頃に朝のカナを食べ、現場に向かうことになった。タマン…

Day151: マウリ・アタック、おしゃべりピッキング、カナはバート

その立ち入り捜査は、何の予告もなく実施された。夜明け直後の寝室で、ガサガサと人の気配がした。私はうっすらと目を開けた。 「インネパ、起きるんだ」叔父さんの声だった。 私はゆっくりと掛け布団を下ろし、ベッドから起き上がった。別のおじさんが全身…

Day150: 蜂蜜、"ヨ"、試験勉強

朝起きたら、蜂の巣が収穫されていた。蜂たちが家の軒下かどこかに作っていたようである。網目の中には黒い蜜が詰まっている。 一切れいただいた。上下の歯で噛むと、蜂蜜がどろっと染み出てきた。濃い甘みが口の中に広がった。声の不調が全て完治しそうな力…